二人の農家と三人の外国人技能実習生と私は、ひたすら鍬でほうれん草を刈る。上空では鳥が春の訪れを歓迎するかのようにさえずり続け、箱に詰められたほうれん草たちはトラックで運ばれていく。そのとき私は、ほうれん草たちが見よう見まねで、さえずりだしたような感覚に陥った。そしていま、その情景を再現しながら、いつの日から私は日本語で夢を見はじめたのかを思い出そうとしている。
2020年 春
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