2022年度 秋冬プログラム「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展
(…)みんなががんばってオープンした直後は花が咲いてお花見をする感じ。そして、花は必ず散るように、会期があるから展覧会も終わる。でも、終わった後には、種とかいろんなものをみんなが落とすんじゃないかな。(…)花が咲く背景には、土に還って養分となったたくさんの葉っぱがある。
—奈良美智の言葉より(『A to Z 奈良美智+グラフ』フォイル、2006年)
本展では、美術館になる前の煉瓦倉庫で開催された、弘前市出身の現代美術家・奈良美智(1959-)による三度の展覧会の軌跡を、さまざまな資料、写真や映像で振り返ります。
1988年に渡独した奈良は、海外での活動も積極的に行う中で2000年に帰国します。翌年から国内初の本格的な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」が全国を巡回し、2002年には煉瓦倉庫を会場として開催されました。これを契機として、続く二つの展覧会「From the Depth of My Drawer」(2005年)「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」(2006年)が煉瓦倉庫で開かれました。
タイトル「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」は、当時の煉瓦倉庫のオーナー・吉井千代子(吉井酒造株式会社社長)が、奈良の作品に強く惹かれ、自分の倉庫で展示をしたいとギャラリーに問い合わせたというエピソードにちなんでいます。この一本の電話が、吉井と奈良の出会いにつながり、煉瓦倉庫での奈良美智展が実現しました。
弘前での最初の奈良美智展から20年を迎える本年、煉瓦倉庫と地域との関係性において重要な意味を持つ、この三度の展覧会にあらためて光をあてます。当時の印刷物やグッズ、記録映像の資料、展覧会準備の様子や展示風景を撮影した写真家の永野雅子と細川葉子による写真で構成します。また、過去に出展された奈良美智の作品も一部展示します。弘前での「奈良美智展」というひとつの事例から、地域のアートプロジェクトや美術館、そしてそこに関わる人々について考えをめぐらせるための場の創出を目指します。
アーティスト
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Photo: asaco suzuki
永野雅子
1971年、埼玉県生まれ。同地在住。青山学院女子短期大学卒業。雑誌、広告、web、書籍等でポートレートを中心に撮影している。2004年「This is a time of... S.M.L. yoshitomo nara+graf」を青幻舎より出版。
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Photo: Hiroyo Katsube
細川葉子
1974年、福井県生まれ。東京都在住。1999年、日本大学芸術学部写真学科卒業。2004年より写真家として活動をはじめる。雑誌、広告のポートレートや静物、映画のスチール、展覧会のカタログなど多岐に渡って撮影を手がける。
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Photo:RYOICHI KAWAJIRI
Artwork: ©️Yoshitomo Nara奈良美智
1959年、青森県弘前市生まれ。栃木県在住。1987年、愛知県立芸術大学大学院修士課程修了。1988年渡独、国立デュッセルドルフ芸術アカデミー入学。修了後、ケルン在住を経て、2000年帰国。1990年代後半以降からヨーロッパ、アメリカ、日本、そしてアジアの各地のさまざまな場所で発表を続ける。見つめ返すような瞳の人物像が印象的な絵画、日々生み出されるドローイング作品のほか、木、FRP、陶、ブロンズなどの素材を使用した立体作品や小屋のインスタレーションでも知られる。
3Dアーカイブ
展覧会のみどころ
1.印刷物やグッズ、映像などさまざまな資料を中心に、三度の展覧会を多角的に振り返る
当時の関係者へのインタビュー映像のほか、市民の協力により集まった印刷物やグッズなどの資料を展示します。三度の展覧会準備から完成までの軌跡を紹介するとともに、煉瓦倉庫の持ち主であった吉井千代子と奈良の出会いや、展覧会運営を担ったボランティアの存在を起点とした持続的なコミュニティ形成のあり方など、異なる切り口から三度の展覧会をとりまく要素を考察します。
2.展覧会が生まれるエネルギーを伝える写真展示
「奈良美智展弘前」準備中の会場風景、展覧会づくりに参加した人々や当時の街の様子を撮影した、永野雅子と細川葉子による写真を紹介します。共通する対象をそれぞれの視点で捉えた写真群は、当時の建物や展示の詳細な記録を伝えるドキュメント資料としての役割を持つだけでなく、展覧会の完成というひとつの目標の下に集結した人々の熱気や、当時の煉瓦倉庫がまとっていた場のエネルギーを伝えます。本展の会場構成には、過去の弘前での展示のグラフィックを手がけたデザイナーの山本誠が参加します。
3.当時の展覧会で出展された奈良美智の作品を一部展示
三度の展覧会の資料とともに、過去の弘前での展示に出展された奈良美智作品の一部を展示します。煉瓦倉庫の記憶を継承しつつ美術館へと生まれ変わった展示空間で、絵画、ドローイング、立体作品などを紹介します。また、奈良が故郷の弘前で暮らしていた時代に親しんだ書籍やレコードもあわせて展示します。
4.展覧会と並走する参加型プロジェクトの展開
「弘前エクスチェンジ#05」では、「奈良美智展」の記憶をたどり、演劇を作ることであらたな考察を試みる「もしもし演劇部」や、三度の展覧会をきっかけに街や人にもたらされた変化を探る「小さな起こりリサーチプロジェクト」など市民参加型のプログラムや関連する展示を行います。三度の「奈良美智展」が地域に蒔いた創造性に光をあてつつ、それを大きな契機として美術館へと生まれかわった煉瓦倉庫のこれからの姿を考えます。
展覧会ブックレット
展示解説や展示風景写真などを収録した展覧会ガイドブックです。藤原旅人氏、高橋しげみ氏による寄稿をはじめとしたテキストも掲載しています。デザインは本展の会場構成やデザインを手がけたデザイナー、山本誠氏が担当。
・インスタレーションショット撮影:長谷川正之
・仕様:88ページ、フルカラー、A5判
・発売日:2023年2月3日
・販売価格:1430円(税込)
※本ブックレットは完売しました。当館ライブラリーで閲覧いただけます。
開催概要
- 会期:2022年9月17日(土)〜 2023年3月21日(火・祝)
休館日:火曜日
※ただし、3月21日(火・祝)は開館
※12月26日(月)〜1月1日(日)は休館
開館時間:9:00-17:00(入館は閉館の30分前まで) -
主催:弘前れんが倉庫美術館
特別協賛:スターツコーポレーション株式会社
協賛:株式会社大林組
協力:奈良美智、NPO法人 harappa
後援:東奥日報社、デーリー東北新聞社、陸奥新報社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、エフエム青森、FMアップルウェーブ、弘前市教育委員会 - 観覧料[税込]:
一般 1,300円 (1,200円)
大学生・専門学校生 1,000円 (900円)
※()内は20名様以上の団体料金
以下のサービスをご利用の場合にも、団体料金が適用されます。詳しくは各リンクをご参照ください。
○観覧料割引駐車場 詳しくはこちら
○わにサポ 詳しくはこちら
※以下の方は無料
・高校生以下の方
・弘前市内の留学生の方
・満65歳以上の弘前市民の方
・ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方
・障がいのある方と付添の方1名
当館に駐車場はございません。
観覧料割引駐車場をご利用の方は、観覧料が100円引きになります。(2名まで)
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